電車を待ちながら。
いつものように、12時間を稽古場で過ごす。
熱く火照ったような、自分の現在を眺めて静かに醒めたような、
そんな心持ちで電車に乗ると、懐かしく大事なかつての仲間に出くわす。
途中下車して酒を飲む。
ずっと、別の場所で演劇の現場に踏みとどまり続けた仲間。
心でものを言いあってきた仲間。
若い頃は、それなりにぶつかりあった仲間。
ぶつかりあうよりたくさん、抱き合ってきた仲間。
長い空隙を一瞬で埋めていく時間。
お互いの50年を感じながら。
店を出てから、昔のように、地べたに座りこんで話す。
お互いの闘い、お互いの孤独が混じり合う。
もっともっと先に行こうよと、抱擁して別れる。
ふだん降りない駅で、長いこと電車を待つ。
ふだん考えないことを考える。
この間、地球ゴージャスを観た時もそうだった。
観客席で中川くんを追いながら、
ふだん考えないことを考えた。
ふだん考えること……
今で言うとそれは、現在の仕事のことと次の仕事のこと。
さらにそのまた先の仕事のこと。
つまり、現在の舞台のことと、次の舞台のこと。
さらにそのまた先の舞台のこと。
考えなければならないことが山積みで。
ずっと考えている。
でも、観客席にいる間、
その「ふだん」と違うところで、
いろんなことを考えた。
人生のこと、物語のこと、リズムのこと、体のこと、年齢のこと。
「ふだん」を離れて考えることが、わたしの瞬時の休暇だった。
今夜もそうだったんじゃないか。
「ふだん」を離れて感じること考えること。
たかだかさくら水産で飲んだ安い日本酒、
武蔵浦和の駅で座り込んで手を握り合っていた時間が、
夜の海で潮騒を聴きながら、シャンパンを酌み交わした時間のように思える。
闘っている者の、
わずかな、ささやかな、休暇。