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2010年9月

2010年9月26日 (日)

美しい風景。

昨日は、「楽屋」の時にも大変お世話になった橋田欣典さんに、稽古風景の写真を撮っていただいた。
いつもは生きる動体として見ている俳優たちが、呼吸とともに体験している流れる時間が、
写真に切り取られると、全く違う美しさをたたえていて、わたしを驚かせる。
息を止め、時間を止めて、静止した風景が語り出す。
美しい風景の、延々続く芝居だったんだなと思う。
我ながら。

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(撮影:橋田 欣典)


2010年9月25日 (土)

文学に、ありがとうと言う。

「悪魔の絵本」は、愛の話であるとともに、
作家の話だ。
書くことについての話だ。
文学への愛憎についての話だ。

***

わたしの母の話を少し。

小さい頃に父を喪い、5人兄弟の長女として育った母は、
若い頃から祖母と二人三脚で一家を支え、
本を読む暇などなかったと言う。
音楽を聴く余裕などなかったと言う。
そして、わたしがおなかの中にできた時、
子供には、本を読んだり音楽を聴いたりさせてやりたいと願い、
胎教に、子供文学全集を買って読み始め、
カルピスのおまけでもらった名曲のソノシートを聴き始めたと言う。

で、わたしは、生まれ、
子供文学全集をすぐに読み通して次をねだったし、
ありがたいことに、小さい頃から音楽の喜びを知っていた。
わたしに才能があるかどうか知らないが、母はよく言った。
「あんたの才能、全部ママの胎教のおかげやで!」

それからずっと、文学と音楽に支えられて生きてきた。
救われ、癒され、力づけられた。
こと文学に限って言えば、
心底辛いときには、必ず、その時に読むべき本と出会ってきた。
これはもう、愛してる者の、特権と言うべきか。
必ず、出会ってきた。

文学に、いつも、ありがとうと言いたかった。
そして、今、
作家の話なのだ。
書くことについての話なのだ。
文学への愛憎についての話なのだ。
舞台を通して、
谷さんの言葉を得て、
愛すべき俳優たちの心と体を借りて、
わたしはやっと言えるかもしれない。
「ありがとう」と。

***

今日は稽古休み。
で、稽古場で主人公である作家の書棚を作る。
1日かけて。
これは、本当にわくわくする作業だ。
ずっとやっていてもいい、と思う。
そして、ずっと眺めていたい。

家に帰れば、主人公の著作のブックデザインをする。
これがまたわくわくする。
文学愛、爆発。
文学オタクは眠るのも忘れて架空の書籍を妄想する。

ああ。

文学好き、みんなに見てほしい。
これ、とんでもなく、文学の話だから。


2010年9月22日 (水)

「悪魔の絵本」を観てください!

書けなかった。
ただひたすらに、稽古場にいて、
ただひたすらに、芝居のことを考えていた。

今日、3回目になる通し稽古を見て、
これは美しい舞台になると、
心の底で、密やかに、確信した。
わたしの見たかった向こう岸が、
近づいてきた。
いや、わたしの見たかった向こう岸が、
いつの間にか、
みんなの複眼で見る向こう岸になっていて、
思い描いたところよりずっと清らかだったりして、
わたしは目の奥を熱くする。
稽古場にて。

終盤で、
市井紗耶香さん演じる川田希から、
岡田あがささん演じる井佐原茉莉に手渡されるもの。
魂から魂へ手渡される、
ずっしりと重い贈り物。
それを、どうぞ、確かめに来てください。
劇場に。

サンモールスタジオにて、10月1日から11日まで。
このブログをご覧いただいている方々へ。
お願いです。
劇場にいらしてください。
すべての方に観てほしい。

2010年9月14日 (火)

稽古場仕込み。

劇場に入ってからの時間が短いので、とにかく稽古場を本番通りに仕込むことにする。
建て込みはほぼなく、とにかく物を飾るセットなので、持ち込みさえすれば形になる。
……持ち込む量は膨大だけれど……。

こうして、トラックを待つ時間、稽古場セットを夢想する。

2010年9月13日 (月)

解き放たれて。

歌うってことは、本当に、心を解放してくれるな。
心のしくしくする舞台の稽古に明け暮れて、人生の重く苦しい部分に身も心も対面している時に、歌うって行為は、どんなにか、どんなにか、心身を解放してくれる。
確かに、レッドアローでは、気絶するように眠りこけて、行きも帰りも車掌さんに起こされた。
でも、行ってよかった。
そこに歌があるから。

明日から、また心新たに、対面する。
重くても苦しくても、それが生きるってことで、美も醜も、喜も哀も、そこにあって、わたしの記憶を呼び覚ましてやまないから。

2010年9月12日 (日)

記。

眠る前に、わたしはいつも、一日を振り返っている。
だから、なんだかこのところ、マイナーなことばかり書き付けている気がする。
いいこと、よかったこと、自画自賛ポイントは、胸の奥にことりとしまいこみ、
激しく自己嫌悪して、明日への闘志を燃やす、深夜の日誌。

明日、ものすごく久しぶりの稽古休み。
シーンぶつ切りで稽古してきたから、俳優たちは交互に休んでいても、わたしは休みなし。
それが、明日は、一日、少し頭を開放する。
久しぶりに秩父に行くぜ、わたしは。
秩父まで行くのは、ちと遠くて、レッドアローがお座敷列車化してるとすごく疲れるけれど、
あそこで、みんなと歌うのは楽しい。
稽古休みの、気分転換。
体を休めるより、まず、心を休めよう。
明日は、歌おう、思いっきり。

で、14日から、いよいよ固定の稽古場入りする。
ああ、やっと、やっと、だ。
道具を入れて、小道具も衣裳も用意して、
キャストも揃って、ようやく、ようやく、だ。
ああ、14日。
待ちに待った、本格的な稽古の開始。
残された時間はわずか。
でも、稽古場が待ってくれている。
我が家から、引っ越し並に色々を持ち出す予定。
ひたすら歌って秩父から帰ったら、
稽古場への引っ越し準備に明け暮れよう。
そりゃあそりゃあ大変な毎日であるけれど、
妥協を嫌い、人を愛し、突き進む。

2010年9月10日 (金)

救われてばかり。

毎日、後悔と反省の繰り返し。
わたしは、どうにも不出来な人間。

それでも、隣にいてくれる演出助手に救われたり。

演劇を愛する俳優たちに救われたり。

愛し方の下手くそなわたしは、
いつもいつも、救われてばかりだ。

何をもって、
お返しができるだろう。
そんなのわかりきっていることだな。

2010年9月 7日 (火)

嫌悪の果て。

わたしはひどい奴だと、
嫌悪して嫌悪して、
その果てに見えてくる、
演劇への忠誠心。

曲げられないものは曲げられない、
でも、愛して愛して愛したおす。

わたしの目の中には、
今日の稽古場で、
俳優たちが見せた笑顔の残像。
涙の連鎖。

嫌悪の果てに、
わたしの愛情が、
生み出そうとしているものに、
救われる。

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