岡田あがさが、昨日サンモールの新年会で、女優賞をもらった。
井佐原茉莉の役で、狂気とエロスを表された。
わたしはひどく嬉しくって。
谷さんの飲尿ミュージカルを見てあがさの存在を知って、まあ、わたしの一目惚れで、オファーしたんだけれど。
これはもう、本当に、声をかけてよかった、と。夜中にドキドキしながら、突然のメールを書いてよかったと、思い返すわけで。
あがさが、演劇に溺れてあっぷあっぷする姿も、
あがさが、井佐原茉莉と格闘する無様さも、
すべてあっぱれだった。
稽古初日に訪れた、怯えた小動物みたいな女が、
作家の妄想した人物と結託して、獰猛さを増していくその過程。
混乱や戸惑いが見えやすく、それをすべて、自分の現在として開き直って、体当たりで向かってきたあがさ。心と肉を揺らして、演出家にも相手役にも、どんっとくる。
本番に入り。日毎、自戒と隠し持ったナルシズムを行き来し、他者の言葉の渦に揉まれてぐるんぐるん戸惑いながらも、核だけはきっちり守りつつ、自由さを誇ったあがさ。
写真を連写すると、美しい表情の変化の中に、時折、ホラー顔が混じる。
サブリミナル効果で、あがさはわたしたちに井佐原茉莉を植え付けようとしたのだ。
なんて恐ろしい女。
わたしは見たぞ、すべて。
愛しているぞ。
なんでそこまで演劇好きなの?
まだ若いのにそこまで一気に傾倒しちゃっていいの?
と、凡人のわたしは心配してしまう。
短い間に、何もかも食い尽くしてしまって、
10年後には別の仕事をしてるんじゃないかって……
余計なお世話だけれど、心配するわけです。
あがさ、いつかまた一緒にやろう。
***
あがさだけじゃない。
出会う俳優、ひとりひとり、しっかりと出会ってきた。
この、演劇を通して他者と出会う時間が、今のわたしを構成している。
一生離れたくない愛人がいるし、激しいSM関係にある人もいるし、傷つけあって別れた人だってたくさんいる。
そのすべてが、わたしの現在。
だから、これまたお人好しのお馬鹿さんって感じだけれど、
苦楽をともにした俳優が売れていくのが、ものすごくうれしい。
自分の仕事じゃなくってもいい。
演劇愛してるよとか、演劇くたばれとか、体から愛をにじませながら舞台に立っているのを見るのが、こよなく好き。
生き生きしている姿がたまらない。
……こんなこと書いてる暇があったら、自分の勉強しろよって思うけれど、わたしは現場でしか、結局、学べない女であるからして。
俳優たちに感謝。
過去も未来も含めて、出会いがすべて。
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