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2013年7月

2013年7月31日 (水)

NYの蛍〜NY滞在日記(7/18〜25帰国)

7/25
AAにて、羽田にさきほど到着しました。上演に使った絵など、かなり多めの手荷物での帰宅なので、迎えの車を待っています。
仮の宿を離れる前に鍵が紛失したりとか、何から何まで大騒ぎで、本当に何の観光もお休みもなく、NYを離れました。
たくさんの人に、支えられた仕事、支えられた旅でした。
サポートしてくださった皆様への報告やご連絡、あらゆる経費の決算、この演目の今後の展開、次回公演の準備など、山積み。
大きな体験を経て、また新しい気持ちで演劇を楽しみたいと思います。
でも、その前に、35日離れて暮らした、愛猫風に会える時が、ああ、もうすぐ!!!

7/24
エリと短い時間で、たくさんの話をする。
友人の目に映った自分を大切にすべきだ、というのは、このNYの仕事で、エリ(旧友)と啓ちゃん(新しい友達)と過ごして、実感したこと。
自分が、「自分」と思っているものより、友人の目に映った「自分」の方が信じられる、という、珍しい現象。いや、珍しくないのか?
母に電話をし、ほんのわずかな時間で、自分の生きているありがたさを実感する。
わたしが"M10 Our Time"で書いたように、延々と続いてきた時間の中で、命が生まれ、父が育ち、母が育ち、子供が産まれ、また父が育ち、母が育ち、子供が産まれ、人間は「求めよ、さらば与えられん」って言葉そのままに、進化を続け、今に至る。その連鎖の中の母とわたし。
母と話しているだけで、そんな、長い長い時間に詰まった愛情と生きる力を感じる。
母の声を聞いていると、こうしてしっかり「生きて」いることが、自分の大事な仕事なのだと思えてくる。
わたしは、失敗や後悔の多い半生を送ってきたけれど、母がいるから、いつも前向きでいられるのだ。きっと。

7/24
オフとオフオフの業界事情をわずかに聞き込んできて、これからここでまた何が出来るか考える午後。
夕刻よりブルックリンに移動して、かねてから靖浩が、終演した暁には行きたいと望んでいたオイスターバーへ。
わたしは、パリ公演の折り、大好きな生牡蠣を人並み以上に食べて至福を味わい、人並み以上におなかを壊して地獄を味わった人。(あまりに死にそうだったので、搭乗拒否されてしまった。機内で死んでも文句言わないって内容の誓約書に署名して、ようやく乗せてもらった……。)
だから、幸せそうに牡蠣を食らう靖浩とフランを眺めていただけ。
でもまあ、人が幸せそうな顔してるのを見るのは、悪くない。
今は、お世話になった黒部エリ様をアストリアのブロードウェイにあるビアホールで待っている。ひとり飲み。
電話なしで結局1ヶ月乗りきった。
だから、こうして今、携帯のない時代みたいに、なかなか連絡が取れず待ち惚けしているのだ。まあ、最後の夜に、そんなのもいい。
かなり気持ちいい店だし。
さっき、怪しいWifiにつないで、30分のネットワークをゲット。
メールできたので、たぶん会える。
NY最後の夜。
感傷的になるには大人過ぎる。感傷など、ない。
大人なので、分析が過ぎると嫌気がさすので、人待ちの風体を装って、頭を空にする。
ただ、こうして一人オープンエアで飲むことを、楽しむ。
頭の中に何もない時間は、久しぶり。

7/24
明日の帰国に向けて、やることがいっぱい。
まだ仮に稽古場に置かせてもらっている小道具の整理、持って帰るか送るかの算段。
近い先、またここで公演するための勉強に、人と会う約束。
そして、1ヶ月強の仮の宿の、大掃除、大掃除……。
でも、体がだるくで動き出せない。
この1ヶ月、東京では自転車移動のわたしが地下鉄に乗りまくり、常に重い重い荷物と一緒だった。稽古場も午前午後夜と3カ所移動をすることなんてざらで、まあ、とにかく、毎日持ち運ぶ小道具パソコンスピーカー、そういうものの重さとの対決だった気がするなあ。
わたしの年齢でこんなことできる人なかなかいないってことを、自慢に思うか、恥ずかしく思うか、微妙なところなんだけれど……。
今は、元気な自分に感謝しつつ、わたしのサポートをしてくれる人材を探していくことにします。
助けてもらうことが、どれだけ大切か、この公演でわたしは知りましたから。
さあ、動き出すぞ。まずは……朝ごはん。

7/23
4回の公演をすべて終演して、一日が経ちました。
すぐには、そのことを言葉にすることができませんでした。
わたしたちの公演は好評のうちに幕を閉じ、いろんな思いがけない意見と感想を頂き、興奮と感動の4日間でした。
でも、そこには山も谷もあって、そのたび、飛び上がったり、沈み込んだり。山や谷というより、スパンが短すぎて、ジェットコースターでした。
あまりにも演劇は複雑で、あまりにも演劇はシンプルで、あまりにも演劇は手強くって、あまりにも演劇は簡単で、あまりにも演劇は偶然で、あまりにも演劇は必然で、あまりにも演劇は優しく、あまりにも演劇は残酷で、わたしは、演出家としての自分を、見直す時間が必要だった。
Directionを色んな方に誉めて頂きました。とってもうれしかった。でも、それだけじゃあ足りない。人の心は掴めない。
わたしは欲張りだから、鷲掴みできないと気がすまない。
プロデューサーとしては、4回目の公演を満席にすることができなかった。いくら頑張っても、結果が出なければ駄目。
もちろん、結果が出ることなのか出ないことなのか、しっかり肌で感じないままに、がむしゃらにやり続けていたって事実があるし。
でも、次に進むためのステップは、しっかり踏み、歩んだ。
客席に観客を迎えるための仕事のなんたるかを、学んだ。
それは日本でも、ここでも、変わらない。
舞台は、3回目の公演で、もう惑うことなくただ成長するだけ膨らむだけと予想していたものが、4回目の公演で、またわずかなバランスのずれを見せました。
本番で、作品をキープしていくこと、育てていくことの難しさを、どんなにか痛感しました。どんなにか、どんなにか。
もちろん、観客に向けての演劇的成果は、ほぼ変わりません。小さなスタッフ的ミスとか、ささやかな表現の変化などで崩れる作りではありません。でも、もっと羽ばたくはずだった、という、演出家の欲です。
ようやく、厳しい状況下での初演を終えて、これから、またこの作品を抱えて旅立つつもりです。
帰国したら、また別の新作に挑む予定ではありますが、この作品はさらに育てます。まだまだ可能性を抱えた作品を、わたしは作ったんです。
この年齢になって、まだまだ、こんなに傷つきながら学べることに感謝します。自分の弱さと強かさ。両方を行き来しながら、学びました。熱さや痛みの記憶とともに。
スタッフキャスト全員に感謝して、今回の公演を終えます。
わたしにとっては、まだまだ後片付けが続きますが、それは次に向けてのスタートでもあります。
わたしの書いた言葉たちは、英語上演ですから、ここNYでは発表されないままでした。近いうちに、日本でも発表しなければ。
伊藤靖浩演じる和也が歌う、最初の歌は、”Color of Life" タイトル曲です。
画家である彼が、表現者としての現在を歌う唄。
こんな歌詞で始まります。
僕の目に映る
光 影 緑 太陽 水 
すべてを喜ぶ世界中の輪舞 踊り歌う人たち
僕の目に映る
涙 憎しみ 怒り 崩れ 諍い 
すべてを悲しむ世界中の業火 泣き叫ぶ人たち
僕の目に映るものは そのまま僕の体の一部になる
だから僕は 描かずにはいられない
これは、わたしが作品を創り続ける気持ちでもあります。
たくさんの方に支えられて、ここまで来ました。
心から、御礼を申し上げます。
わたしは演劇でしか恩返しができません、きっと。
ひたすらに、また、創り続けたいと思います。
ありがとうございました。
この経験で、わたしはさらに、世界と、生きていることと、仲良くなれた気がします。

7/22
昨日のカーテンコール。
靖浩、笑顔全開。
NYでの稽古、本番の中で、急速に俳優の顔になってきている。
舞台の神秘。魔法。

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7/21
Message from Sachiko Ishimaru.(Producer/Director/Playwright/Lyricist)
The last day of our show in the MITF has now arrived. From our opening performance, we have been embraced by an audience who loves us. Last night was a full house again, and I hope our final moments will find us surrounded by many viewers. The creator and executive producer of MITF John Chatterton called it a "beautiful and simple" production. For a Japanese director as myself, producing an English dialog/theatrical piece for a festival as this was no easy task. To present a show as a world premiere certainly has been a challenge to overcome. Yet what an exhilarating feeling now to have experienced this all. To look to future work in this area is what I anticipate hereon. Please don't miss this final day of our world premiere. I will be at the theater this evening, so please join us tonight. Let the show delight and perhaps even inspire you for a relationship that can "color" your world.

7/21
昨日は、静かに興奮していました。
それが今日は、わたしの胸のうちで、なんだか青い炎にまで進化しています。
昨日は、舞台の出来こそよかったけれど、わたしは客席を満席にできなかった。それが悔しくて悔しくて、家に帰ってから延々、自分に出来ることをやりました。パブリシストとの作戦展開、ポスティング、リスティング、今さらでも何でもかまわないから、やってみました。そして、再度のお誘い。あらゆること。
本当は15時から稽古だったんだけれど、20時の開演目指して、16時半まで「プロデューサーモードでいさせて!」とお願いして、稽古場でキーボートを叩き続けました。そして、ようやく演出家に戻ったんです。
今日、開演前、席が足らなくて見切れ席を復活しながら、満席の客席を見た時のわたしの感動は、半端じゃなかった。
日本でやっていれば、なんてことない、小劇場なんです。
でも、最初全く闘い方のわからなかった場所で、とにかく聞いて頼って見つけて頑張り続けた結果が出ました。
そして、芝居は今日もよかった。
同じことをやっても、客席がいっぱいだと、全然違う生き物になることを、本番中に作品が成長していくのを、肌で感じました。
今日の観客席、日本人はごくわずかでした。
靖浩の英語がちゃんと伝わっていて、小気味のいい笑いが来た時などは、作家としてはもう、うれしくってうれしくって。
作品が動き出しているのを、目の当たりにする喜び。
愛されているのが、客席にいて、わかるんです。
4時間半の劇場稽古で、明かり作りがほとんど出来ないまま、わたしとの打ち合わせと稽古場GPだけで本番を迎えた、照明のPOE君。
初日から今日まで終演後は、ずっとわたしと顔をつきあわせて、反省会と翌日への作戦会議。今日も、さらによくなる変更を思いついてしまった演出家に、気持ち良くこたえてくれ、何よりこの仕事を楽しんでくれている。
本当にありがたい。
そして、アメリカは、夢を持つ人間にチャンスをくれる国だとひしひしと感じています。
"Color of Life"は、このMITFでの上演だけではなく、さらに愛される時間と機会を持つことができるかもしれないという、夢が、わたしの中に生まれました。今日。
青い炎です。
すべては、自分にかかっている。わたしが何を望み、どう立ち向かっていくかにかかっている。
この作品は、わたしのターニングポイントになります。
急にわたしを取り巻く世界が変わらなくっても、わたし自身の演劇人としての意識は、1ヶ月で急に変わっています。
支え、応援してくださった皆様のおかげで、わたしは、大きな大きな勉強をし、収穫を得ようとしています。
明日、千穐楽を迎えます。
今夜も、明日の客席を夢見て、仕事を続けます。

7/20
2日間の休息と稽古を挟んで、2回目の公演。
わたしの見たかった世界が、今日、見えてきました。
わたしは、静かに興奮しています。
このMITFの主催者、John Chatterton氏が、今日観劇されました。
ずっとオフオフブロードウェイを愛してきた演劇人。
招聘が決まってから、わたしはずっとJohnとメールのやり取りをして、この公演のあれこれを決めてきました。
もう、なんだかメル友かというくらいに、メール、メール、メールで仕事を詰めてきました。
最初に、Welcome Partyで会った時、
"Nice to meet you"の挨拶のあとに続いた言葉が、
"Your script is very good"でした。
すでにメル友状態だったとは言え、初対面で自分の台本を誉められて、わたしはすっかり気分をよくしたものです。
そして、今日の終演後。
Johnはわたしに、
"It's a great musical, new musical. It's simple ,beautiful."
こう言ってくれました。
そう言って頂けてうれしい、と喜ぶわたしに、うんうんとうなずいて去っていったJohn.
わたしは、静かに、静かに、興奮しています。
うれしい。芯からうれしい。ひたひたと喜びがこみあげてくる。
でも。
でも。
わたしは、まだ物足りないんです。
わたし自身の想像を、まだ越えてこない。
絶対に、まだ先がある。
たった60人しか入らない小劇場の中に、広い広い世界と、長い長い時間を閉じ込める魔法を、わたしは使おうとしています。
もっと広い世界を見たい。
もっと長い時間を、一瞬で感じたい。
自分の創ろうとした作品に、わたしはノックアウトされたい。
芝居が、奇跡の瞬間、魔術的な瞬間を迎えると、わたしは最もこの芝居をよく知っている観客として、誰より早くノックアウトされちゃうはずなんです。
その瞬間を求めて、わたしは明日も稽古をするし、午前3時、深夜スーパーで、明日の朝ご飯に、肉だのにんにくだのを買い求める。
演出家の仕事、母の仕事。そして、プロデューサーの仕事。
最後まで、ひた走るつもりです。
きっと疲れているのだろうと思うのですが、異常に元気です。
躰の中から、ずっとエネルギーが溢れて止まりません。

7/19
ニュージャージーでの稽古後のバーベキュー。
もうずっと昔のことのよう。
今思えば、この一日の稽古がターニングポイントだったような気がします。
今日の稽古は、台詞と歌のランスルー。
そして、初日を振り返っての細かい稽古。
さらには、通し稽古。
必要な稽古だったとは言え、二人ともくったくたになってしまって、
遅い晩ご飯は、大判のビーフステーキをスーパーで購入。
弱った時の神、にんにくを丸ごと蒸し焼きにして、一人2個くらいぺろりと平らげる。
あとは、しっかり睡眠をとってもらって。
元気な二人に、明日の朝、会えますように。
ものすごく俳優に高度なことを要求する作品なんです。
深々と感じて表現することと、感情をコントトロールすること、この二つがどちらも必要。
頑張って1時間半を駆け抜けるような芝居ではないんです。
今日の通し稽古はとってもよかった。
明日、劇場で、これをやりたい。
フェスティバルにはよくあることで、開演前、劇場に入れるのは15分前です。
……驚きでしょう?
15分で、音響照明のチェック、道具のプリセット、客入れ、全部やるんです。
初日はしっかり作戦をたてて挑みましたが、予想外のことが幾つもあって、スムーズな15分とは言えませんでした。
そこからの、始まりです。
あと3回。なんとか、いい状態で幕を開け、トップシーンで、客席を掌握してしまいたい。
さあ、2回目の公演。
なんと、21時45分の開演です。
こんな時間の開演も、この仕事をやりだしてから、初めて。
何もかもが経験。
何もかもがチャレンジ。

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7/19
昨日は、NY COO GALLERYでのライブパーティー。
いい出会いがたくさんあった。
応援資金も集めて頂き、また感謝の夜。
今、ギャラリーのガラスケースを飾っているアクセサリーの作家、Sumi Nakazatoさんとわたしはすぐに通じるものがあって、
画家の啓ちゃんと、3人で手をつないだ。
啓ちゃんが、出会いの神秘を、神様に感謝するお祈りを唱えた。
不思議な時間だった。
さあ、今日はしっかり稽古をする。
明日の本番に向けて。

7/18
昨日、無事、初日を開けました。ほぼ満席の客席にて!
わたしの"Color of Life"は、観客の皆様に絶賛されました。
靖浩の歌声、フランの可愛らしさ闊達さ、二人のコンビネーション、楽曲の美しさ、そして、作品のオリジナリティー。
劇場を出て、靖浩とフラン、舞監の白石、照明のPOE君、音響操作のまゆちゃん、何くれとなく手伝ってくれるトモ。
みんなの顔を見て、本当に誇らしく思いました。よく、幕を開けることが出来た、と。
大きな演劇フェスティバルならではの、様々な制約の中、初日を開けるのはどんなに大変だったか! 誇らしい、以外に、今、うまい表現が思いつきません。
そして、御礼を申し上げます。
indiegogoを通じて、「NY公演サポートのお願い」を読んで、この公演の経済的サポートをしてくださった皆様。
Facebookを通じて、わたしに応援の声を送ってくださった皆様。
NYに着いてから、集客や宣伝のために、全面的に協力してくれた黒部エリさん、エリさんは、客席から初日も見届けてくれました。
COO GALLERYの渡辺啓子さん、後藤さん、モリオカさん。
その物心両面のサポートがなければ、昨日のわたしは存在しなかったと思います。こうして書いているだけで、目の奥が熱くなってきます。
うれしかった。ほんとにうれしかった。支えられた。力をもらいました。
心から感謝します。
小さい時から意地っ張りで、人に頼るのが嫌いで、なんでも一人で出来る!と生きてきた石丸さち子が、「助けてください」と言うことを学びました。
「助けてください」と言う時に、どれだけの責任を背負うのかということを学びました。
そして、「助けてください」と言うわたしに、たくさんの人が「助けるよ!」と名乗り出てくださった。
わたしの挑戦にシンパシーをもってくれて、かつ、わたしと一緒に夢を見てくれた。そんな思いが、どれだけこの無謀な挑戦を支えてくれたか!!
まだ時間の余裕がなく、一人一人に御礼できる時間がありません。
この場で、まず、ご報告し、心より御礼を申し上げます。
ありがとう! ありがとう!
そして、最後に。
この場に書くべきか悩んだあげく、
やはり書きます。
毎日書き続けてきたこのFacebook上での進行報告は、限りなく素直に書いてきた文章たちなので、それを曲げる訳にはいきません。
昨日の初日の舞台は、わたしの創りたかった舞台ではありませんでした。
次の公演に向けて、スタッフとは終演後すぐに反省会と直しの打ち合わせを終えました。
俳優たちとは、今日、明日と、さらに稽古の時間を過ごします。
初日を開けるということは、作品が歩き出すということ。作品は、すでに観客に愛されました。それは本当にうれしい。
でも、もっと愛されるための向こう岸に、作品を連れていってやることができるんです。わたしは、最初からそこを目指していました。
19日20日21日と、残す3回公演に向けて、わたしの闘いは続きます。
応援してくださった方々への責任として、わたしは、わたしの夢を完遂します。
いや、そんな固い言葉を使わなくってもかまわない。
作曲家伊藤靖浩とわたしで大事に創り上げてきたこの作品を、二人で夢見たとおり、舞台にのせたい……。それはとても素晴らしいものなので。
引き続き、わたしは頑張ります。

NYの蛍〜NY滞在日記(7/9〜7/16初日)

7/16
仮の宿は、ずっと前から合宿状態。
みんなで寝食をともにしている。
助け合ったり、ぶつかりあったり、いろんなことがあった。
靖浩の寝顔寝姿を見ていると、それは幸せそのもので、起きている時間の苦悩なんて微塵も想像させない。
彼の歌の魅力は、彼が歌う幸福感が、人をも幸福にし心地よくすることろだと思う。
フランは、まだ知り合ったばかりで、きっとわたしはまだ彼女をちゃんと知らない。それでも、あえて言うと。アメリカ人のいいところと日本人のいいところの、絶妙なミックスだと思ってる。子供のまんま大人になったようなところと、小さい時から大人の目を持っていたんじゃないかと思わせる成熟感もある。なんとも、優しくって、なんとも、ダイナミックな女の子。
いずれにせよ、人の寝顔寝姿というものは、その人をこの世に送り出した、お父さんお母さんの存在を、思わせるものだ。
靖浩のご両親は、ずっとずっと山形で応援し、祈り、力を送り続けてくれている。
フランのご両親は、なんと全公演を観劇してくださるらしい。
そして、わたしの両親も、故郷姫路にいて、どれほどわたしの健康と成功と幸せを祈ってくれているか。どれほど、助けてもらったか……。
脳梗塞の進んだ母は、もう、何度も同じことを聞いたり、物忘れが激しいのだけれど、電話するたび、子供がするように、「頑張れ頑張れさち子!頑張れ頑張れさち子!」とエールを繰り返して、父を笑わせている。
パパ、ママ、いよいよだよ。
初日の朝です。

7/16
劇場での時間があまりにも限られているフェスティバル進行。
今日は、それを取り戻すための、稽古場での舞台稽古(?)
稽古場のレールライト6回路を使って、模擬照明キュー確認。
稽古場のスピーカーのフェーダーを使って、劇場のフェーダーのレベルを模し、曲中での細かいレベルチェック、CD二台出しをパソコン上に仮想して、キュー確認。
劇場でやるべきことを、稽古場で仮想して行うという、人生初体験のGP。
いい一日だった。
やれることはすべてやった。
明日は20時開演。
午後からしっかり稽古場で稽古して、劇場に移動。
これから当日パンフ作りとか、チケットの整理とか、演出業以外にもいろいろある。
疲れているのは間違いないんだけれど、何かすごくいいものが躰にみなぎっている。とっても元気。
まだまだ、フェスティバルの本番当日の対応が読み切れてなくて、明日も何が起きるかわからないんだけれど、でも、何とかなる。何とかしてきた。
自分のために。
靖浩とFrancesのために。
NYでわたしの芝居に足を運んでくれる観客のために。
仮の宿に帰り着いたら、一足先にトモが治療院を開設しており。
わたしのスタッフやキャストを元気にしてくれた。
ありがとう、トモ。
さあ、いよいよ明日。
作、作詞、演出、プロデュース、自分のすべてで挑んできたプロジェクトの、たくさんのたくさんの人たちの応援に助けられてこそ動いてきたプロジェクトの、明日が初日です。

7/15
週間NY生活に紹介された記事です。
いろんな媒体に、がんがん紹介して頂いて、なんだかNYに来てはじめて演出家として認められたような気がしています。

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7/15
今日という一日に感謝。
4時間半の闘いを終えた。
協力してくれる人たちの支えがなければ、成立しなかった、4時間半。
でも、4時間半は、やはり無理な数字だ。
どんなに段取りよく進めたって、完璧に幕を開ける準備なんてできっこない。
でも、だから明日がある。
明日もまた、この作品に巻き込まれてしまった新しい演劇仲間が、きっと共に歩んでくれる。打ち合わせで、稽古で、劇場を想定して、闘い抜く。
明日を、演出家としてどんな風に生きるか。
そして、観客席を満席にするため、プロデューサーとして、直前まで努力すること。

7/14
もう、何時に終わるかわからない、作業中。
今まで、パソコンの音響ソフトから出していたMとSEを、CDに起こす作業。音響ソフトに頼っていたループとか、トリムとか、アタッカとか、すべて新規に作る作業。
もう、絶賛作業中なんですが、ひとつ、書いておかねば。
昨日、わたしの胃痛のポストを呼んだ黒部エリ様が、稽古場に差し入れを持ってきてくれました。
優しい味付けの、ほうれんそうのおひたし、肉じゃが、雑穀米のおにぎりたくさん。
稽古後、みんなで、もう、貪るようにして食べました。
なんて美味しいだろう!って思ったのでした。
食べ物の力、すごい。
うれしかったなあ。
そして、東京で、「ペリクリーズ」とか、初日を迎えられなかった公演とか、その代わりの「ACCIDENTS」とかで一緒だった徳垣友子嬢が稽古を見にきてくれて、休憩時間に、マッサージをしてくれました。
これもよかった。
自分の痛いところに触ってくれて、痛いことをわかってくれる人がそこにいるだけで、救われるものです。
トモ、ありがとう!
さて、色んな人に助けられてること感謝して、作業に戻ります!!

7/14
昨日、本当に、地の底に落ちたような気分になって眠ったのですが。
今日は。
帰り道、高揚して地下鉄の中で書いています。
明日の舞台稽古を目指しての稽古場通し、初めてわたしの見たかったものが目の前に展開しました。初めて。
作家としても、作詞家としても、演出家としても。
こういう日の演出家の幸せは、経験したことのない人はわからないかもしれないですね。
ずっとずっと孤独に、見たいものだけを追求するんです。
誰も助けてくれないし、誰の助けも必要としていない。
ただただ、孤独に、自分が見たい向こう岸を憧れ続ける作業。
孤独な闘いの中で、わたしは、この強い憧れを、人に託して生きています。
自分一人では、創れないものを創っているんです。
伊藤靖浩、Shino Frances。
この二人の出演者は本当に素晴らしいと、今日の稽古で確信しました。
3人でようやくスタートラインに立って、
あと2日、初日を目指して繊細な稽古時間を過ごそう。
いや、待て!
明日、4時間半の舞台での決戦が待っていた!
今夜は、家に着いたら延々、この決戦のための準備になりそうです。

7/14
初日まで、あと3日になりました。
舞台稽古は、明日。
日本の演劇人は驚くかもしれませんが、本番前に舞台を使えるのは、上演時間×3の時間。つまりわたしたちは90分×3で=4時間半だけなんです。
この中で、照明を創り、音を創り、場当たりし、通し稽古する。
する?
うん?
長いことやってきて、こんなの未体験ゾーンです。
その実態を知るまでに相当なやり取りがあり、その実際を知って、少しでも変えてもらおうとした時期があり、そこからこのフェスティバルの在り方を見つけていって、ここでの闘い方を模索した時期があり。
いよいよ、明日、この4時間半が待っているんです。
明かりづくり好き、場当たり好き、舞台稽古好きの血が燃える!とか、今回は簡単に言えないな……。
でも、ここにOur Showの行方はかかってるからね。やるよ。
空き時間はすべて投入してきたプロモーション作業が実って、いろいろな媒体にわたしたちの公演が取り上げられています。
その中から日本関係のを、ふたつ、ご紹介します。
Japan Culture NYC
(出会いを求めて行った日系人のパーティーで、ジャパンカルチャーの記者と知り合いました。ジャパンカルチャー企画の公演しか掲載は無理と言われていたのですが、大きく紹介して頂くことができました。)
週間NY生活(19ページ "WOMAN"のコーナー)
(NYで頑張る女性を紹介する”WOMAN”のコーナーで、わたしを特集してくださいました。これは黒部エリさんのご紹介のおかげ。感謝!普通は、女性一人のトップ写真になるのですが、お願いして3人の写真にしてもらいました。わたしは今、この人たちと三位一体だもの。)

7/13
今どんな気持ち?
と、またFacebookに聞かれて、
今日はこう答えるしかない。
「あらゆる感情が深く複雑過ぎて、もう書けません。」
歓喜と悲鳴の連続。
これを人に伝えるには一体どうすれば?
でも、このところ、わたしは書き留めたくて仕方ない。
説明できない感情を、
自分の弱さを、
人間の不可思議を。
息苦しく、激しい、
輝きを求めて暗闇を彷徨うような、
こんな時間にいる自分のことを、
思いつくだけ書き留めておいた方がいい気がするのだ。
今日は激しい胃痛との闘いだった。
これが神経性のものだったのか、
単なる単なるよくある胃痛だったのか、
わからない。
わたしの体の中も外も悲鳴だらけなんだもの。
でも。
NYの友達、啓ちゃんの声を聞いたり、
休憩中に山中陽子嬢がコメントを書き込んでくれているのが、
ふと目に飛び込んできたり。
ふとしたことが、思わぬ力や励ましをくれたりする。
弱くなりそうな時に。
精神や品性が、ちょっとさもしくなりそうな時に。
ここのところ、神様のことをよく考える。
誰も知らない苦労や苦痛を味わっている時。
誰にも見られないところで頑張っている時。
誰かに思いが伝わらない時。
愛情だけでは足りないのだと、落胆した時。
「ねえ、せめて神様ぐらいは、ねえ、見ててくれてるんでしょう?」と。
わたしは無信仰な人だけれど、
自分の神様に愛想を尽かされたら、きっともうおしまい。
ペール・ギュントのように、誰も彼もと一緒に溶かされて、新しいボタンに作り変えられる。
あ、そうか、今のわたしは3幕のペール・ギュントかもしれないな。
壮年のペール。
……とすると、運命はわたしは弄び、無一文になり、渇き、孤独に怯え、最後には精神病棟行き?
アメリカの胃薬が効きますように。

7/11
絶望と、希望について考える夜。
ここに来てから、そのどちらもが入れ替わり立ち替わりやってくる。
我がもの顔に、わたしをのっとってしまう。
サガンの言葉を思い出す。
……” 絶望的に希望する”
「愛と同じくらい孤独」か、「私自身のための優しい回想」か、どちらに出てきた言葉だったか? 旅先なので正確に引用できないけれど……
サガンは言う。
もちろん「ロミオとジュリエット」は、結末を知っていて観るのだけれど、わたしは、ロミオとジュリエットが幸せになるようにと、絶望的に希望して観る力がある、と。
わたしは、その力がほしい。いつも、いつも、ほしかった。ずっとほしいと思ってきたから、少し力がついてきたような気もしている。
” 絶望的に希望する”って、おかしな日本語だと思う。
原文はどんな風に言っているのだろう?
でも、わたしは朝吹さんの訳したこの言葉のニュアンスが大好きだ。
生きるために命を揺らしている美しさがある。
強烈にこの言葉を思い出して、噛んで、噛んで、体の中におさめて、今夜は眠る。
明日も、朝が早い。あ、すごく早いな。
わたしは、どこまで行けるだろう。
絶望の力を借りて、希望して。
見える風景は、どんななんだろう?

7/9
「ともだち」って、自分にはあまりいない、と信じ込んでいた気がします。わたし自身が、友達づきあいが悪いせいです。
でも、世界ってのは、わたしなどよりもっともっと優しくって、長らく長らく会っていないのに、ちゃんと「ともだち」でいてくれて、「ともだち」のことを考えて、動いてくれる人がいたりするんですよね……。
大人ですから、とてもクレバーに、とてもスマートに。
と、こんなことを書くのはですね。
わたしが18歳〜19歳の時。シェイクスピアシアターという出口典雄さん主宰の劇団にいた時に、同じ釜の飯を食べて、早稲田の先輩後輩でもあって、研修所卒業公演では、姉妹の役をやっった黒部エリさんが、今はNYで人気コラムニストとして過ごされており。
今回のNY公演が決まった時に、もう30年以上も会っていないというのに、思い切って連絡してみたんです。
そうしたら、もう。
会ってみると、お互い何にも変わっていないように思えるくらい、すぐに同じ釜の飯の感覚に戻って話ができるし。
とにかく、もう、あれやこれや、ものすごい勢いで助けてくれるんです。
唐十郎の戯曲「吸血鬼」ってのに、「お世話の都」って言葉が出てきて、わたし大好きなシーンがあるんですけど、それを思い出すくらい、お世話をしてくれる。そう……。すごく美しい、お世話の都を築いてくれる。
「ともだち」ってこういうものなんだ……と、わたしは感動し、そして、今までの人生をちょっと後悔したり。
わたしは、「ともだち」をこんなに大事にしてきたかな……って。
さて。
そんな最高のともだちの黒部エリさんが、稽古場に取材にきてくれて、別日にわたしへのロングインタビューも行ってくれました。
それが、2回に分けて、彼女の人気ブログに紹介されております。
ずっと言葉ってツールで生きてきた人です。
さすが!!って思う記事でした。
ありがとう、エリ!
何と、前後篇に分かれております。
さて、これが前篇。
そして、これが後篇。(前の記事からご覧くださいませ!!)
わたしが「演技」や「俳優」について語る内容になっています。
何も特別なことは言っておらず、しょっちゅう稽古場でしゃべっていることの一部なのですが、こうして記事になってみると、とても面白い。
わたしが伝えたものを、ちゃんとわかる人が、自分の言葉で書く。
その経過が入るだけで、色んな思いや考え方が、社会化されています。
これも是非お読みください!!!
エリさんのFBウォールで紹介されて、この記事の素晴らしさで「Color of Life」を見たくなったというコメントを頂きました。
エリ様の仕事、素晴らしい!!!

2013年7月30日 (火)

NYの蛍〜NY滞在日記(6/29〜7/9)

7/9
ニュージャージーで稽古をした夜、こんな宣伝動画も撮りました。
英語サイトには字幕つきでアップしています。
(自分で字幕作業をやったので、タイム調整をさぼり、ずれずれです……。)
とにかく、演出家としても、プロデューサーとしても、出来る限りのことをやっています。手当たり次第。ずっとやっています。
それでも時間は足りず、今日なんて怒濤の勢いで稽古し、稽古後は、何かに憑かれたようにパソコンに向かっています。
そんな時に、いつも使っているEラインは、30分で着くところを1時間20分かけたりするわけです。荷物は異常に多いわけです。だって、稽古場まで小道具とか運ぶわけですから。でもって、地下鉄の中に座り込んでAirを引っ張り出して仕事してしまったりするわけですよ。
相当タフな女になりそうです。(体は小っちゃいけれど。)
40代後半から、こんな、何でも屋みたいな演劇の作り方をしてきました。
批判もあります。
でも、0から創り続けようとすると、このスタイルしかなかった。
色んな人に、仕事の仕方を変えないと、体が潰れてしまうよと言われています。生き急ぎ過ぎだと言われます。
ええ、その通りかもしれません。
だから、もう少し先に行きたい。ぐっと進みたい。
そのために、今回の冒険は、何よりわたし自身を鼓舞してくれています。
冒険って大変だけれど、生きてる限り、挑戦してみるものだな、と思います。

7/9
伊藤靖浩+Shino FrancesがNYで歌った夜!!
昨日のOPENING PARTYのVIDEOを、YOU TUBEにアップしました!
わたしは途中で興奮してしまって、手が震えていたし、iPhoneの録音で彼らのパフォーマンスのどれだけが伝わるかわかりません。
おまけに、その前の稽古でさんざん録画してしまったものですから、最後の1分半が切れてしまいました。……容量オーバー。
でも、この前半だけでも、こんな映像でも、伝わると思います。
是非ご覧下さい!!

7/8
とんでもない恐怖と闘ってきた。闘っている。
でも、今日、MITFのオープニングパーティーでの伊藤靖浩の歌声が、恐怖を拭ってくれた。
幸福を呼ぶ伸びやかな歌声が、今日歌った誰より伸びやかに、開場を席捲したと、わたしは思った。そして、たくさんの人が、同じ思いを抱いてくれたようだ。たくさんの人が、声をかけていってくれた。
わたしは幸せなプロデューサーとしてそこに存在し、演出家としては、めくるめく演出プランが頭の中をぐるぐる駆け巡って、帰り道、書き留めるのに必死だった。
演劇は勝負じゃない。
自分の見たい作品を、観客に渡したい作品を、創るだけだ。
そう思ってやってきた。
でも、この街にいると、どうしても、「勝ちたい」と思えてくる。
初めての感覚。
恐怖はきっと、ずっとつきまとう。でも、チーム全体が、「いける」と思った夜だった。

7/7
今日は、わたしたちのNYでの活動を全面的にサポートしてくださっている渡辺啓子さんのお宅で稽古をしています。
ニュージャージーの一軒家で、眩しいほどの陽射しに包まれて、持ってきたオケの音を素敵に響かせてくれる空間とスピーカーがあって、最高に贅沢な環境で稽古をしています。
もとはと言えば、この日の稽古場が押さえられず休みにせざるをえなかった日。
それが、思わぬ魔法の午後に変わったんです。
開かれた空間で、靖浩とフランの歌もどんどん伸びやかになっていきます。
厳しい稽古進行、どれだけ時間をかけても終わりがないプロモーションの日々、眠らない夜の連続、そんな中で詰まりかけていたわたしの心も、ゆるゆると解けて、自分から生まれてきた感じやすい言葉の世界に戻っていくようです。
演劇に立ち上げる途中で立ち会わねばならない、たくさんの厳しい側面。
それらを乗り越えていく時に、最も忘れてはいけない、この作品の「心」。
昨日も新しい出会いがあり、わたしはたくさんの課題を抱えました。
そして今日も、こんな素敵な場所との出会いがあり、自分が今まで演劇を創ってきた意識、環境、すべてを考え直したくなるような日々が続いています。

7/5
「今、あなたに必要なのは、命を蘇らせる眠りです」
こんな台詞が聞こえてくる。
どんな時のどんな感情も、大体、シェイクスピアの台詞で網羅されてしまう。
演劇は、世界を映す鏡。
偉大な仕事は、懸命にこの命を駆け抜け生きる、その過程に生まれるのだと、そう思う。
我々が生きる世界は、それくらい複雑で難しく、それくらいシンプルで美しい。

7/5
週間NY生活に、公演の紹介記事が掲載されました。
来週号に、わたしの紹介記事が掲載予定です。
こちらの19ページをご覧下さい!!

7/5
ここNYで、チケットを売るということ。
NYにいる知り合いは、本当に限られた人数でしかない。
その限られた知人から、知り合いの輪を広げていく。
出会って、知ってもらい、そして劇場に足を運んでもらえるように作品を伝えること。
ふだんとは全く違うプロモーション。
人と知り合うということ。
知り合った人からまた知り合いが生まれるということ。
臆せず、誰とでも出会いたいと思うこと。
自分に興味を持ってもらう努力をすること。
人前で自己評価を下げず、自分の美点を売り込むこと。
人と知り合うことに、喜びを見いだすこと。
……一人で仕事を続けてきて、わたしが日本にいて、忘れがちなこと。
こんな中にも、ニュー・ヨークに仕事をしに来た意味を見いだす午後。

7/4
今どんな気持ち?
って、いつも、ここに書いてあるわけだ。
今夜はそれに素直に答えよう。
感謝している。
Facebook上で、わたしはこのところ、感謝って言葉を使い過ぎている。使い過ぎると、その効力が薄れていくっていうのが言葉の持つ運命、常なのだけれども、それでもわたしは、今日、「感謝している」という言葉しか、思いつかない。
はじめは、わたしと伊藤靖浩二人の、でっかい夢みたいな話だった。それが現実になり、動き出してから、たくさんの、たくさんの人を、このプロジェクトは巻き込んできた。
今日1日は、改めて、その支えてくれる人たちへの「感謝」を、感じ入る日だった。
ただただ、いい作品を創るしかない。
新作を創るには、少し短い、6月20日以来の滞在期間を思い起こし、これからの日々を思う。
自分よ、しっかりしろ。
と、思う。
そんな間違った演出する人生を送ってきたつもりはないけれど、
それくらいのことじゃなくって、
奇跡とか、魔法とか、BESTとか、
自分にとってこのほかに道はなかったと言えるくらいの確信をもって、初日を迎えられるか? わたし?
そんな風に、自分に問い、叱咤する。
そんな夜。

7/3
今日は、稽古場を伊藤さんの歌稽古に任せて、わたしは舞台監督と打ち合わせ。これからのスタッフワークを見通す1日、そして、連絡、事務、連絡、事務。
夜、何か一本ミュージカルでも、と思ったけれど、やはりやるべきことをこなさないと落ち着かない。
わたしは、この滞在、オフオフで上演する自分のミュージカルに、すべてを捧げる。今は、自分と出演者からしか、インスピレーションを受けたくないというのも、正直なところだ。
日本にいるのと同じで、ほぼ、住まいと稽古場の往復の毎日。
一番通っている店が、STAPLESっていう稽古場近くの文房具屋と、24時間スーパーだっていうのが笑える。
NYにきてまで、風の写真をアップするのもどうかと思うのだけれど……。でも、また。
わたしが寂しがっているのを知って(猫ではなく、わたしが寂しがっている。)敬ちゃんがまた写真を送ってくれた。
今年、風の誕生日に、わたしが彼女にプレゼントした水の流れる給水器。
猫カフェっていう商品名。
とにかく、水道から流れる水が大好きな彼女。
洗濯機の上に座って、洗面所の水が流れる時を、いつまでもいつまでも気長に待っていられる。
で、いつでも流水を飲めるように買ったあげたもの。
風は白猫のくせして、ミルクを飲まない。
水が大好き。
わたしのいない間も、わたしの部屋で、こうして流水を美味しく飲んでいるらしい。
7/2
立ち稽古に入って、ざくざくと、最後までの流れを掴みました。
自分から出てくるものにわくわくします。
長い、長い間、プロデューサー業務を重ねて、舞台が実現するための準備を続けて、こうして稽古する時間を待ちわびて、見たい風景や、体験したい時間を溜めに溜めて…………稽古場で自分を解き放つ時が、わたしはやはり最高に好きです。
生きていると感じます。
嘘偽りなく、自分がどう生きてきたかが試される時間です。
だからこそ、不安も大きく、喜びも大きく。
誰が何と言おうと、自分が見たいものを創ろうと思います。
わたしが見たいものを、待っていてくれる人がいることを信じて。
今日、稽古中に、週間NY生活という媒体に取材をして頂きました。
次号に舞台の紹介が出て、次々号には、WOMANというコーナーで、わたしの紹介をして頂けるそうです。
ニューヨークやニュージャージー、ワシントン等で、朝日や日経にも折り込まれるらしい。……嬉しいですね。
取材してくださった小味記者は、「ムサシ」がリンカーンセンターに招聘された時、蜷川さんのインタビューもされた方でした。
こういうのも、なんだか嬉しいものです。
取材が終わってからの雑談で、すごくストレートに応援し期待する気持ちを示してくださって、こういうのもまた、嬉しいものです。
明日は、舞台監督の白石良高氏、NY到着。
ここまで、すごく繊細な作業を続けてきました。これが第一期。
作品が大きくドライブし始める第二期が始まります。
大胆に転がって、冒険して、本番前のさらに繊細な調整期に、向かいたいと思います。
そして。
わたしが、東京に残してきた風が恋しくて仕方ないので、面倒を見てくれている敬ちゃんが、風写真を送ってくれました。
彼女に寂しい思いをさせている分、わたしはきっと最高の仕事をするでしょう。
いつも、わたしの部屋の窓から、遠くを眺める風。憧れることの美しさと永遠がそこにあるようで、わたしが風に見とれる瞬間。
わたしもその目線の先にあるような素晴らしいところに行きたいなあ。


6/30
今日、Midtown International Theater Festival のFBページでは、我々の"Color of Life"が、どどーんと取り上げられています。
どうぞご覧ください!

2013年7月 1日 (月)

NYの蛍〜NY滞在日記(6/21〜29)

6/29

昨日、玄関で蛍を見た。
NYの蛍。
NYの蛍はずいぶん小さくって、じっとしている時には仄かなオレンジ色のくせして、飛ぶと蛍光緑になるの。
残念ながら、見た時は一人だった。誰かと見かった。

NYの歯ブラシがあまりにでっかくて磨きにくそうだったから、子供用を買った。
使っている時にいきなり光り出したのでびっくりした。
どうやらお尻の柔らかいところを強く押すと光るらしい。
柄に記された「Firefly」って商品名に、その時気づいた。
使ううちにわかったのは、大体3分位光るってこと。
光ってる間は磨くんですよって、子供に伝えるためなんだな。

今日は稽古が休み。
でも貧乏性で、5時からAirに向かっている。
今、直しを反映した台本のプリントを終えて一段落。
アストリアに取材に向かう。

結局わかったことは、今回は、動ける限り動き、やれる限りやる。わたしの代わりは誰もいないということ。
わたしの若き仲間たちも、自分の全身全霊で向かっている。三つ巴の総力戦だということ。

村田さん!
上手な休み方を見つけるのは、日本に帰ってからの課題にします!
って言うか、長生きするために、必ず会得しよう!
あと、帰ったら、素敵なパートナーを見つけたいな。
NYに来てから、愛すべきご夫婦に会って、俄然結婚願望が強くなっている。うーん、こっちの方が、休むより難しいぞ、きっと……


6/28

こちらに来てから1週間。
12日GP、初日、千穐楽、バラシの怒濤の「帝国の建設者」を終えてから、休む間もなく来米。
少しくたびれたのか、常にリュックに入れているAir Macやスピーカーが肩にずっしりと重く、帰りは代わりに持ってもらったり。
今は伊藤氏が入れてくれた風呂に、じっくりと浸かった。
ろうそくを灯してくれていたので、仄暗い中で、ゆっくり時間を過ごせた。それで、頭痛は取れたかな。
でも、肩の荷はおりない。
まだまだこの荷を抱え続けなきゃいけないことはわかっているので
上手に荷を持とうと思う。
伊藤氏やフランに力を借り、
2日には、stage managerもやってくる。
上手に荷を負うこと。
上手に荷を負わなければ、軽やかでいられない。
いい歳なのだから、頑張るだけではなくて、もう少し賢くならなくては。


6/27

昨夜、ほんとうに楽しい会食を持ちました。

昔、わたしが18歳の時に一緒に舞台に出た黒部エリさん。
(シェイクスピア「間違いの喜劇」で、エリさんがエドリエーナ、わたしがルシアーナでした!)
早稲田の先輩でもあって、一年色濃くともに過ごして、その後全くお会いしていませんでした。
今やNYで大活躍のコラムニスト。
NY公演の、大きなアドバイザーになってくださっています。

もうお一人は、NYで画家として活躍、NYCooGalleryを開いてらっしゃる
http://www.nycoo.com/gallerye.html)渡辺啓子さん。
啓子さんは、なんと、わたし、昨年地元の居酒屋で飲んでいる時に、たまたま意気投合してしまった方。その時は、「NYで画廊をやっているんです」と自己紹介をされても、ちっともぴんと来ていなかったのですが、FBでつながったり、Webで作品を見たりするうちに、これは大変な出会いだったんだなと気づき。
NY公演が決まってから、思い切って連絡をしてみると、なんとも細やかな愛情で、いろんなお世話をしてくださるのです!
もう、今や、わたしにとって、居酒屋で出会った女神様みたいな人です。
(正しく言うと、女神様と呼びたくなるくらい優しい、素敵な芸術家!)
そして、なんと、NYに来てみれば、エリさんと啓子さんが親友だったという……!!
まったく、人生というのは、驚きの出会いに満ちています。
素晴らしすぎる。

昨日は、啓子さんの画廊で待ち合わせしてから、写真のような、わたしなんて全く場違いのNational Artist Clubでお食事をしたのでした。
同世代三人の女が集まって、飛びきりの夜でした。

なんと、初日を開けた翌日、17日、NYCoo Galleryで、ライブを開催する予定です。
主人公が画家のミュージカルで、画廊でライブが出来るなんて、最高だと思いませんか?
また、後日、ご報告します!


6/26

朝7時8分。
少し眠くなってきた。
そりゃあそうだ、23時頃1時間の仮眠をとってから一睡もせず仕事している。眠ろうとしたけれど、眠れなかった。やるべきことが頭にちらついて。だったら、やろうと思った。
券売のために、情報をポストし続ける仕事。
ひとつひとつに、ものすごく時間がかかる。
英語のプレスリリースは作ってあるものの、ポストの仕方がひとつひとつまるで違う。PC扱いに慣れたわたしでも、英語でのポストのコツが掴めてきていても、時間がかかる。
なぜ、眠らずにやるか?
不安だからだ。
少しでも早く、頑張れば頑張るだけ、人の目に触れる機会も増える。

券売だけでなく、クリエーションにおいても、不安は大きい。
時間がどんどん目減りしてくるのに反比例して、不安は育っていく。
でも、この不安は、原動力にしよう。
どうしても不安が募ると急いだり、言葉が荒らいだり。
毎晩反省して、平衡を保とうと自分に言い聞かせる。
頑張れば頑張るだけ先に行けることは、精一杯頑張る。
創る時は、時間や不安を忘れる。

煙草は6階の部屋から1階に降り外に出なければ吸えない。
時間をかけて降りてみると、おばさんが散歩している。インド系?
犬の綱を持たないで、ゆうゆうと歩く。綱を首にくっつけてひきずったまま、4匹の犬がおばさんのまわりをついて歩く。この風景を見るのは、ここに来て二度目。
幸福な風景。
生活する人々を見て、自分がどんな作品を創ろうとしているのかを、改めて考える。

これから9時に出て稽古場へ。
夜には、大事な会食。NYで公演するために、骨を折って協力してくれている人と会える。一人は、わたしが東京に出て一年目で一緒に芝居に出た人だ。その後、こちらでライターとして活躍している。思いがけない縁が支えてくれている。昨日は、その同じ劇団の先輩だった方が、FBでわたしを見つけて声をかけてくれた。
夜には、また支援の連絡が届き、東京でわたしたちの奮闘を見守ってくれている人のことを考えた。
たくさんの人の思いに、わたしは支えられている。

少し眠いけれど、きっと午後、少し仮眠できるだろう。
ほがらかに、この仕事を楽しんで、今日1日を過ごそう。
人と出会い、影響しあえることを、喜びたい。


6/25

うーむ、わたしのタイムラインに、どしどし伊藤氏からの写真がアップされていきます。
かなり追い詰めた仕事をしているはずなのに、わたしはぷくぷくと呑気な子供みたい。もういい歳なのにねえ。バリバリ仕事してるのにねえ。

ここでも、時間との闘いをやっております。
自分でプロデュースして演出するようになって5年、いつも複数の企画で動いて頭を切り換えなければなりませんでしたが、今は幸せなことに、「Color of Life」のことだけ考えて暮らしていられます。
ただ、作家の仕事、演出家の仕事、プロデューサーの仕事、この3つで大忙し。
せっかくのこの仕事を、たくさんの人に知ってもらうため、できるだけ社交的に、たくさんの方と知り合い、コンタクトを取る行動をしています。
日本でわたしが一番やってこなかったこと。
それをNYでは迷わずやっている。
自分の仕事のやり方を見直す経験にもなりそうです。


6/23

フラン、やってくる。稽古までに共にそれぞれの作業。
”Color of Life”は、三人の現在のすべて。すべてと言える作品にしたい。
この三人の現在のすべては、かなりいけてるはず。
わたしは二人よりずいぶん年上だけれど、表現者としては肩を並べている。このトリオのバランスを崩さずにいきたい。
Macを三台並べて、顔をつきあわせてもくもく仕事するの図。
なぜかコロナがあるけど……。


6/23

4日目の朝。
昨日は稽古が休みだったので、前夜からの執筆、デスクワークを、延々と続けた。日本にいる時となんら変わらない、素晴らしい外界に背を向けて、テーブルの上で、美しき箱庭作りに熱中する時間。
時差ぼけのおかげで、いつも早起き。
朝の美しさを堪能しながら、今日も15時の稽古開始まで、書く。


6/21

稽古初日を終えて、作曲に遅れをとっている台本と翻訳の追い込み作業。
時差ぼけとか言ってられない。とにかく進む。一語、一語。
フランが我らの仮住まいに泊まり込み、一緒に作業。
人と同じくらいの努力じゃ産み出せない。
人と同じくらいの感受性じゃ感動させれらない。
でも、誰にでも伝わる言葉で紡ぎたい。
誰もが知ってる感情を、誰も聞いたことのない表現で伝えたい。
作家×作曲家×翻訳家が、そのまま、演出家×主演男優×主演女優
この三つ巴が、ぶつかったり支え合ったりして産み出せるものは、単純に1×3じゃないと思うの。もっと起爆力があると思うの。
今夜が、わたしたちの歴史の、大事な一夜になりますように!



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