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2013年12月

2013年12月31日 (火)

一年の最後の日に、小説を読み耽る。

新潮クレストが出版されて以来、多くの作品に触れてきたのに、この走りつづけた5年の間、読書時間がどんどん少なくなっていた。

出会うのが遅すぎた、とは思う。でも、振り返れば、何もかもが必然なのかもしれない。

”Color of Life"を終えて、アリス・マンローに出会った。

ノーベル賞を受賞するほどだから、多くの読書人に愛されてきたであろう彼女の作品を、わたしは、この秋はじめて読んだのだ。

今まで読まなかったのも不思議だし、

出会ったのが、この、今、だということも不思議だ。

人生に迷うと、必ずそこに「本」がある。

文字の印刷された紙があり、その紙を1枚1枚めくっていくという、行為の時間がある。

「Family Furnishings」という短篇の中に、こんな一節がある。

それを聞いたとたん、なにかが起こった。わながバタンと閉ざされて、これらの言葉をわたしの頭のなかにつかまえたような気がした。自分がそれをなにに使うのかはまだよくわからなかった。わかっているのはただ、それが自分に衝撃を与え、そしてすぐさまわたしを解き放って、わたしにだけ吸える異なった種類の空気を吸わせてくれたということだけだった。

わたしがマンローを読んで体験しているのは、まさにこれだ。

時間が、風景が、人間なら誰しも共有の感覚が、五感の記憶が、あらゆる震えが、痛みが、喜びが、わたしの頭のなかに、つかまっていく。そのたび、わながバタンと閉じる。

この「バタン」の瞬間を、わたしは何度も味わう。噛みしめる。

それは、罠に満ちた人生を生きるわたしを、絶望させたり、希望させたり。

一年の最後に、この一年の最後に、アリス・マンローを読んでいる奇跡。

わたしにとっては、「生きていてよかった」と思える瞬間。

人でいることは、苦々しく、喜ばしい。

でも、明らかに言えること。

この人生を体験できてよかった。

味わい尽くしたい。  

 

FB記事で振り返る、2013年のわたし。


(こちらのリンクを是非ご覧下さい。)

振り返れば。
闘い続けた前半。
耐え続けた後半。

2月 私塾公演「テネシーの女たち」
6月 ボリス・ヴィアン「帝国の建設者」演出
7月 MITF参加(NY公演) 新作ミュージカル「Color of Life」作・演出

ここまで、一気に駆け抜けて、
後半は、自分を見つめ直す時間が続いた気がする。

9月 私塾以外では初めてのワークショップ開催で、たくさんの出会い
9月末 「Color of Life」で、最優秀作品賞と、最優秀演出賞、最優秀作詞作曲賞
、最優秀主演女優賞を獲得
10月 初めての大々的なバースディパーティーを開催して頂く
11月 私塾公演「燕のいる駅」稽古開始
11月半ば、背骨を折る(骨折と診断されたものの、あまりの治りの早さに未だ信じてはいないが。)
12月 高血圧性脳症で入院。あっという間に退院したものの、我と我が身からの警鐘に、生活を変える決心。

一年を終えて、ただただ、支えてくださった方々に感謝の気持ち。

今年の大イベント、「Color of Life」NY公演は、多くの方に支えられて実現したものです。
そして。
わたしと仕事を共にし、支えてくれた伊藤靖浩。
プライヴェートタイムの心の平安の元、愛猫風。
私塾のみんな、今年出会った人たち、今年一度も会ってなくてもわたしの心にいる人たち、ニュー・ヨークの恩人たち。

ありがとうの気持ちをバネに、健康とさらなる邁進を誓います。

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