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2014年3月

2014年3月21日 (金)

作家宣言。

毎日、この国でいろんなことが起こる。
毎日、世界中でいろんなことが起こっている。
そして、わたしは、限られた一生のうち、すでに半分以上の時間を過ごしてしまって、残された時間についてしばしば考えている。
そして、わたしは、自分の体が消耗品だということを、すっかり思い知って、その使い切り方についてずっと模索している。

そして。

ひとつ、心を決めたことがあります。

演出家、俳優、に続いて、作家を名乗ろうということ。

今まで、自分で演出するために、幾つかの台本を書いたり構成したりしてきました。
作りたい舞台作品があったからで、作家としての意識は全くありませんでした。
俳優だった自分から、演出家たる自分に成り代わるのは、とても大変でしたし、草鞋は一足で十分でした。
でも、震災のあった年から、俳優業を再開しました。
この身で表現できることなら、なんでもやりたいと思ったからです。
この表現欲求が、今、書くことに及んでいます。

昨年、ニュー・ヨークのミッドタウン・インターナショナル・シアター・フェスティバルで、オリジナルミュージカルを上演したことが、わたしを変えたとも思います。
自分の台本、自分の言葉、自分の歌詞を、英語に置き換える作業。英語から、また日本語を見直す作業。その中で、どれだけか自分が言葉にこだわって生きているか再確認したこと。
フェスティバルで、最優秀作品賞と最優秀作詞賞を頂いて、 大きな評価を得たこと。
……フェスティバル主催者John Chatterton氏と最初に顔を合わせた時。Nice to meet youを交わした後、彼がわたしに最初にかけた言葉は、”Your book is very good."という、シンプルな英語でした。

その後、アリス・マンローの短篇を読みふけった時期がありました。
作品世界に取り込まれるうちに、ノーベル賞までとった偉大な作家が、「書きたい人が書けばいいのよ」と背中を押してくれた気がしたのです。

秋元松代さんのことも思い出しました。
彼女が、生きる方途に迷って、戯曲の師三好十郎さんを訪ねた時のこと。
師は言います。
「何か書いて来てごらん」
秋元さんが言います。
「戯曲は書き方も知りませんし、書こうという気持ちも本当はないので、何を書けばいいのでしょうか」
そして、師の言葉。
「小学校時代に作文か童謡を書いたでしょう、原稿紙に二枚か三枚でいいのです。ただし、あなたがこれだけは、ぜひともいいたい、それをいわねば、あなたの精神の大切な部分が亡びてしまうと思うことが、一つはあるでしょう。それを分かりやすく、誰か一人の人に話しかける気持ちで書けばいいのです。」

……今、わたしを捉えているのは、それ。そのまんま、それです。

1月の俳優塾公演を終えて、ワークショップの開催があったり、秩父の公演があったりと、忙しく暮らしていましたが、これから落ち着いて、書く準備に入ります。
生きている間に、どれだけ演出できて、どれだけ演じられて、どれだけ書けるのかわかりませんが、ここはひとつ、演出家と、俳優と、もうひとつ、作家と名乗って、好きなだけ書いてみたいと思います。

だって、世界では、本当にいろいろなことが起こって、黙っているわけにはいかないのですもの。
だって、歳をとるということは、本当に面白く本当に恐ろしいことで、やっぱり黙っているわけにはいかないのですもの。

 

 

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