サンタ・エビータ 最終稽古。
最終稽古。とてもとてもいい通し稽古で、素晴らしい出演者とご一緒できる演出家の喜びを味わった。
予定より1時間半も早く稽古を終えて、陽の落ちる前に、のんびりと街を眺めながら帰宅。
いつも考え事ばかりして街を移動するものだから、見えていなかったものが、新しい景色のように眼に飛び込んでくる。とてもやわらかな、しあわせの感覚。
劇場入りを前に、こんなに穏やかな気持ちでいるのは、長らく仕事をしているけど、とても珍しい。
新しいエビータ像。
エビータを生きる、水さん。
エビータを取り巻く男たちを一人で演じ分ける、今井さん。
タンゴ漬けになって選りに選った楽曲たち。
そこにのせた、歌の詞たち。
バンドネオンの生演奏になって、それらが歌声にのる。
タンゴのリズムに、血が湧く。躍る。
エビータの血の熱さが、人々を熱くする。
とても2時間では語りきれないエバ・ペロンの人生を、
いかに切り取ったか。
かつて生きた、大きすぎる魂に、水夏希さんが、
いかに挑み表現しているか。
喪われた魂が、語り始める芝居です。
たくさんの喪われた魂のことを想ってつくった芝居です。
今井さんが歌ってくださる、ある曲は、三津五郎さんが亡くなったことを知った夜に書き上げた。
その夜でなければ生まれなかった。
生きている偶然の奇跡に操られるように生まれてきたものです。
烈しく重い魂が、政治の世界に生きた話は、つき添うだけでエネルギーが必要です。現在の日本の政治を憂える芝居にも見えてきます。
それでも、キュートで、かっこよくって、お洒落なんです。
作者がここまで饒舌に宣伝しちゃっていいの?
いいんです。
きっと受け取ってもらえるものがありますから。
まだ、御覧頂ける日があります。
是非、是非、観てほしい。
観て頂くために、わたしは、毎日を生きている。
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