エビータと、水さんと。
稽古を通して、俳優と作品への思いを共有していくことは、 なんと心躍る作業であろうか。
今日は全体稽古ではなく、水さんと一体一のテーブル稽古だった。
稽古場で、わたしはとてもよく喋る演出家だ。
伝えるべきことがあるし、それが用意できなければ稽古場には行けない。そして、伝えることに全力でエネルギーを注ぐ。伝えるための言葉に向き合う。
でも今日は、いつも「これくらい説明しなければ伝わりきらないだろう」と思ってしゃべる量の半分くらいで、もう、キャッチした表情が読み取れる。
水さんの魅力はたくさんあるが、そのクレバーさは特筆に値する。
そして、その後、一個の人として、しっかり感じ、考えてくれる。
とても色濃い、感じ合う稽古時間を過ごした後、
エビータを実現出来れば、この台本を実現出来れば、それは素晴らしいことになるだろうと、お互いに想像して、一緒に震えるような気持ちになった。
そこまで、きっと一緒に走れるという実感は、演出家にとってどれほど喜ばしいことか。
このところ、稽古が終わると、なかなか真っ直ぐ帰る気にならない。
静かなる興奮の残り香を味わいながら、寄り道して台本の整理などする。
演劇人にとって、最も気を抜けない闘いの時と、喜びの時は、同時にやってきて、縺れあい縒りあいながら、進んでいく。
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