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2015年8月30日 (日)

新しいはじまり。旅する術。

お手製台本から、製本された台本へ。
 
このところ、作・演出で仕事をしてきました。
NYで上演した「Color of Life」で、台本が認められてから、
演劇への立ち向かい方が、少し変わったのです。
でも、実は、このように製本されるのははじめてのこと。
緊張します。
演出家として一本立ちするのも遅かったのに、
さらに遅れて、劇作も始めている自分に驚きます。

こんな時、いつも、香川照之さんのことを考えます。
蜷川演出「桜の園」でご一緒して、俳優として敬愛し続けてきました。
演出家として動き始めた頃、観劇のあと楽屋でお会いしてその話をしたところ、「素晴らしい! 始めるのに遅いなんてこと何もないよ!」と、最高に開いた笑顔で祝福してくれました。
その時、香川さんはすでに、歌舞伎役者として新たな人生を始めることを視野の中にいれてらっしゃったのです。
その勇気、不安、恐怖に較べれば、わたしなど、何ほどのものでしょう。

13歳から、演劇のことしか考えていなかった。
中高エスカレートの学校だから、中一の時から高校演劇へ入部。
この間、映画の「幕があがる」を見た時には、自分が高校演劇に夢中だった頃のことを強烈に思い出しました。
先輩の代で全国大会まで行き、
わたしの代では近畿大会止まりだったけれど、最優秀俳優賞と最優秀演出賞を頂きました。そして、審査員室に呼ばれ、「東京に出てきて、演劇をやりなさい」と薦められました。
ああ、気恥ずかしいけど、青春。

それから……と考えると、 もう、一人分の演劇時間は、とうに過ごしてしまったような気がします。

あとは自由な余生!ってくらいの考え方でやりなさいよ、と、
自分に言い聞かせています。
わたしはあまりに、無我夢中に進む人なので、肩の力を少し抜くために。
いつも、本質に目が向いているように……。

清水邦夫さんの「血の婚礼」の台詞が、聞こえてきます。
(俳優時代に、この役を頂いたことは、一生の宝物。)

「目的だけをひたすらに追い求めるような視線には、
さすらいの素晴らしい風景や事件は、飛び込んでこない。
そんな視線の前には、森も、川も、ずっと閉ざされたままだ。
旅する者だけが持つ無心の輝きが、憧れの星の前で色褪せないように、
足取りも軽く、
時にはスキップもして、
世界のあらゆる輪舞の中へ入ってゆき、
踊り、ざわめき、歌いながらも、
愛する遠方にはきっちりと目を向けている。
それが旅する術だ。」

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