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2015年8月24日 (月)

こころづくしの美しさ。

昨日、DVDで「オペラ座の怪人」を観ていて、
25周年を記念して祝う姿を届けるスタッフの仕事に、
「こころづくし」というとっても日本的な心を感じた。
誰が、何を求めているか、誰に、何を心をこめて差し出すか。
受け取った者のほころぶ姿を最大限に知って準備するプロたち。

秋の匂いを感じ始める少し前、
夏の盛りの終わるぎりぎりに、
一日だけ、海を見にいった。
いや、海を見にいったと言うよりは、
台本の推敲の場所を探していて、
海のそばの料亭を思いだしたのだ。

友人を通じて、知己となったばかりの渡邉映理子さんが三代目をつとめる、
日立の「三春」というお店。
いつか行ってみたいな、という気持ちが、
朝方突然動いて、思いついてすぐに連絡をとり、
電車に飛び乗った。

前日までに予約をしてくださいとHPに記してあったので、
ちょっとご迷惑かなと懸念しつつも、
思いつきを止められず。

夏の盛りに机にかじりついていたわたしを出迎えてくれたのは、
「こころづくし」だった。
よく来てくださいましたね、と吹き出しが浮かぶような笑顔。
案内してくださったのは、誰でも懐かしい気持ちになるような、
優しい畳の一間。
窓の向こうには……向こうというより、目の前に、海。
波の音が 窓を震わせ、ひっそり閑とした部屋の空気も震わせて、
部屋の中は、時計より波の音で時が刻まれる。
いるだけで、たくさんの記憶が甦ってくるようなお部屋だった。

そこで頂く、おもてなし料理のこころづくし。
朝採れたばかりの野菜を頂く、
丁寧な手仕事の均整とれた美しさを頂く、
選ばれた素材と素材の出会いを頂く。
時間をかけて仕込んだふくふくとした美味しさを頂く。
それらがお膳の上で描いたすっきりした絵を楽しむ。
窓の外の陽光が、部屋の中に作る陰と陽を楽しむ。
五感が、ぜんぶ、幸せになる。

 

自分の仕事でも、
心を尽くすことがどれだけ大事か、そして大変か、よく知っている。
知っているからこそ、
人から「こころづくし」を頂くと、
交わしあう笑顔の裏にある、涙とか忍耐とか食いしばった歯の力まで、
共有できるような気持ちになる。

 

こころづくしの仕事は美しい。


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