« ▶劇作家たち、蜷川幸雄氏を語る | トップページ | ▶芸術の海 »

2016年8月10日 (水)

▶空蝉

書斎で、赤ちゃんの産声のことを書いていたら、
今際の際に我がベランダに迷い込んだ蝉が、
これでもか、これでもか、と、鳴く。哭く。
音を立てて落ち、這い上がり、また鳴く。哭く。

空蝉……うつせみ……という言葉を想う。
古代から、蝉たちに「もののあはれ」を感じてきた、
人の心の歴史を想う、夏の夜。

我が愛猫は、ガラス越しに半日蝉の勇姿にへばりつき、
その最期をみとった。
音と姿が絶えても、ずっとベランダのそばにいて、
鳴き声の在った場所を眺めている。

« ▶劇作家たち、蜷川幸雄氏を語る | トップページ | ▶芸術の海 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ▶劇作家たち、蜷川幸雄氏を語る | トップページ | ▶芸術の海 »